産後の忙しい毎日の中、ふと鏡を見たら白髪を見つけてしまってショックを受けた人も多いのではないでしょうか。
しかし、ご存知ですか?それは産後のホルモンバランスの乱れによる一過性の症状である可能性があります。
この記事では、産後に白髪が増える原因とおすすめの対策法をご紹介します。
ぜひ参考にしていただいて、あなたのホルモンバランスを整えるきっかけにしてください!
産後に白髪が増えるって本当?
結論から言いますと、産後に白髪が増えるのは本当です。理由は、女性のホルモンバランスの急激な変化にあります。
女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類があります。
エストロゲンは、通称「排卵ホルモン」とも言われ、生殖機能を発育、維持させるホルモンです。
生理後から排卵期まで分泌が増え、排卵後は分泌量が減っていきます。肌の潤いやツヤを守り、髪の成長期を伸ばす働きもあります。
プロゲステロンは、通称「黄体ホルモン」とも言われ、排卵直後から分泌量が増加します。
子宮内膜をやわらくし、受精卵を着床しやすくする働きがあり、妊娠の準備のためのホルモンといえます。
特にエストロゲンは、妊娠後期になると普段と比べ、約100倍もの分泌量になるといわれており、本来抜けるはずの髪の毛もエストロゲンの働きで寿命が伸びるため抜けにくくなります。
ところが、エストロゲンは出産後に分泌量が一気に減少します。この急激なホルモンバランスの変化が髪の色素に大きな影響を与えています。
白髪のメカニズム
なぜホルモンバランスの変化によって白髪が増えるのでしょうか。それは、髪の毛をつくる毛母細胞の間にある、メラノサイトという色素細胞がエストロゲンと深く関係していることがあげられます。
正常なエストロゲンには血管を拡張させる働きがあり、血流が良くなることで毛母細胞やメラノサイトに十分な栄養が与えられます。結果、健康なメラノサイトがメラニン色素を作り、毛母細胞から黒くキレイな髪の毛が作られます。
対して産後のエストロゲンは、血管を縮めてしまい、十分な栄養が行き届きません。メラノサイトがメラニン色素を作る機能も衰えてしまい、色が付いていない白髪が作られてしまいます。これが、産後に白髪が増える理由です。
産後に白髪が増える5つの原因
産後に白髪が増える原因は大きく分けて5つあります。それぞれ詳しく解説していきます。
1. 睡眠不足
産後の赤ちゃんは就寝時間が決まっていないため、付きっ切りでお世話をしなくてはいけません。
そのため、生活リズムが安定せず睡眠不足になる人も少なくないでしょう。
夜間に夜泣きや授乳で睡眠が途切れると、自律神経が乱れ、副交感神経に悪影響がでます。
血管が収縮されたままになり、頭皮に十分な栄養が届きにくくなるため、髪の色素機能の低下につながります。
2. 栄養不足
授乳は赤ちゃんの成長に必要不可欠ですが、同時に母親自身の栄養も分け与えています。
育児と仕事に追われていると、総菜や出来合いのものが多くなりどうしても栄養不足になりがちです。
特に髪の成長に欠かせないビタミンB群、タンパク質、亜鉛といった栄養素が不足しやすい傾向にあり、白髪が増えてしまう要因となっています。
その中でも、栄養不足を招く恐れがある食べ合わせがあることをご存知でしょうか。以下で詳しく紹介します。
鉄(ミネラル)とタンニンは相性が悪い
授乳中に不足しがちなミネラルの1種である鉄は、タンニンと一緒に摂取すると吸収が妨げられるとされています。
タンニンはコーヒーや紅茶などに多く含まれており、鉄はレバーやほうれん草などに含まれています。
この他にも種類はたくさんありますが、鉄とタンニンはなるべく一緒に摂取することは避けた方がいいでしょう。
3. 紫外線
紫外線はお肌の天敵とはよく耳にしますが、髪にとっても天敵です。
髪と頭皮は身体の中でもっとも高い位置にあるため、直接日光を浴びやすいです。
特に産後のホルモンバランスが変化した状態だと、毛母・色素細胞ともにダメージを受けやすく、白髪の原因につながるため、注意が必要です。
4. 産後のダイエット
授乳を与えている期間はたくさんの栄養が必要となるため気づきにくいですが、授乳期間が終わった途端に急に太ってしまうケースがあります。
これは、出産による基礎代謝の低下や消化器官の働きが弱っていることが要因とされています。
急に体重が増えたからといって、無茶なダイエットを行ってしまうと栄養不足になりやすく、白髪が増える原因になってしまいます。
5. ストレス
育児には成長を見守る楽しさもありますが、同時にストレスも多いことがよくあげられます。
今までリラックスしていた自分の時間を、全て子どもに当てなくてはいけなくなってしまう。
心が休まる時がない。人によっては大きなストレスになるでしょう。
強いストレスは自律神経を乱し、交感神経を活発にします。
すると、血管が収縮し毛母細胞やメラノサイトに十分な栄養が届きにくくなり、白髪の原因となります。
このストレスこそが、産後に白髪が増えるもっとも大きな要因といっても過言ではないでしょう。
産後の白髪におすすめの対策と予防
ここからは、産後の白髪が気になる人に向けたおすすめの対策と予防を紹介します。
栄養バランスの取れた食事
バランスの取れた食事は赤ちゃんの成長に深く関わってきます。
それぞれ適した栄養素を含んだ食材を知っておくことで、効率よく栄養素を摂取しましょう。
ビタミン類、タンパク質、亜鉛などが不足しがちです。効率よく摂取できる食材は以下のモノがおすすめです。
豆腐、納豆、豆乳といった大豆製品を使った「豆乳鍋」
大豆製品には、エストロゲンと類似した働きをするイソフラボンが含まれています。その他にも、カルシウム、鉄、タンパク質も豊富です。
また、ビタミンB群の摂取にはブロッコリーやほうれん草が適しており、これらの葉酸は煮込むことで水に溶け出します。
鍋料理に入れることで効率よく摂取できます。加えて、お好みで亜鉛とミネラルが豊富な「蠣」を入れるのもおすすめです。
上記の理由に加えて、忙しい合間に時間をかけずに作れるという点で「豆乳鍋」がおすすめです。
血行の促進
産後白髪が増える要因として、頭皮の血流が悪くなることが頻繫にあげられています。
頭皮は心臓から遠く、毛細血管は髪の毛よりも細いため血行が悪くなりがちです。
そのため、自発的に頭皮のマッサージや適度な運動が必要になります。
- シャンプー時に円を描くように頭皮をマッサージ
- 育児中に軽いストレッチやウォーキング
どれも根を詰めてやる必要はなく、スキマ時間に軽く行ってもらって十分です。とにかく動く、動かすことが大切です。
つばの長い帽子や日傘を使った紫外線対策
産後の外出は、普段より注意深いケアが必要になります。
頭皮を紫外線から守る効果的な方法として、つばの長い帽子や日傘があります。
ただし、製品の色には注意が必要です。色が濃いほど熱を吸収するので、UVカット加工がされた色の淡いものがおすすめです。
リラックスできる時間を作る
産後の白髪を増やさないために最も大切なことは、ホルモンバランスを整えることです。
確かに育児には大きな責任が伴いますが、ひとりで抱える必要はありません。積極的に周りを頼り、リラックスできる時間を作るようにしましょう。
また、睡眠不足や精神が不安定な場合には日光を浴びることも効果的です。精神を安定させる「セロトニン」が分泌され、睡眠の質の向上や心のケアにつながるでしょう。
刺激の少ないカラートリートメント
「白髪が気になるから、いっそのこと白髪染めをしよう」
白髪が数本だけあると特に目立つので、思わず染めたくなる気持ちもわかります。
ですが、白髪染めは皮膚への刺激が強く、産後の頭皮は特に敏感なため、頭皮トラブルの原因になる恐れがあります。
同様に、ヘアカラーやヘアマニキュアも白髪染めほどではありませんが、刺激のある成分が含まれているため産後にはおすすめできません。
白髪染めには、無添加のカラートリートメントがおすすめです。
天然の植物由来のモノであれば、刺激が少なく安心して使用できるでしょう。